2019.11.23

「国も肌質も問わず、愛される化粧品を」京都発・ICHI化粧品が世界発信にこだわる理由

古賀令奈
ライター:
古賀令奈
当たり前のように使っている日本製コスメが、実は世界で高く評価されていることをご存じですか? 今回はその人気の理由について、コスメの製造と世界発信に注力されている「ICHI化粧品」の代表取締役社長・山田博賢氏に伺ってきました。

“爆買い”が日常化する京都のコスメカウンター

京都美容ライターの筆者にとって、化粧品売り場は足繁く通う場所。そこで目立って感じるのが、外国人観光客たちの買い方です。

京都中心部の百貨店コスメカウンターやドラッグストアでは、大量の化粧品を“爆買い”する外国人観光客の姿がもはや日常となっています。

外国人観光客たちはなぜ、日本製コスメをたくさん購入するのでしょうか。

その理由を調べていくなかで出合ったのが、京都発のコスメブランド「ICHI化粧品」です。

2004年の創業から15年間、海外のお客様に向けて化粧品をつくり、世界各地で販売し続けているといいます。

「ICHI化粧品」の活動と製品に関心が強くなった筆者は、早速トライアルセットでコスメをお試し。

その魅力に突き動かされインタビューをお願いしてみたところ、代表取締役社長 山田博賢氏に「日本製コスメが支持される理由」について伺うことができました。

「トラブル肌に寄り添いたい」ICHI化粧品が生まれた理由

― 早速ですが、ICHI化粧品はなぜ世界に向けて化粧品を作り続けているのでしょうか。

山田:ICHI化粧品とは別で、父から受け継いだ「三幸トレード」も経営しているのですが、そちらの影響が大きいです。1973年の創業当初はアパレルを扱っていて、三幸トレードが化粧品を始めたのが20年前。

その頃に自分も働きだしまして、化粧品や健康食品の企画・製造販売を担当したんです。海外のお客様とお付き合いするなかで「ICHI化粧品」のアイデアが湧いてきました。

当時は皮膚に刺激を起こしやすい成分を含んだものが多く、品質にお困りの方が多くいらして。肌トラブルにお悩みの声を聞くなかで、「化粧品でとにかく安心して使ってもらえるものをつくるべきではないか」と思ったんです。

― コンセプトの「トラブル肌に塗って寄り添う」は、そこから生まれたのですね。

山田:そうです。コンセプトは2004年の創業当初からずっと変わりません。また、ブランドの成長とともにお客様も年齢を重ね、年齢層が広がっていきます。

すると、エイジングケアに力を入れたいというお声も届くようになったので、敏感肌、乾燥肌に加えてエイジング肌でお悩みの方に向けて製品をつくるようになりました。

我々は年齢や肌質、国を問わずたくさんの方に使っていただけるように、安全性を重視して皮膚の表面上の中で適切にケアできる処方を考えてつくっています。

ですから、弊社の製品は世界中の方々に使っていただけると思っています

― ICHI化粧品は「肌へのやさしさと安全性を守り抜く」ことを謳われていますが、それはどのような方法で実践されているのでしょうか。

山田:日本人の美容や健康を支えてきた食文化に注目し、食品由来の成分なら、安全性を守りながらスキンケアとして使用しても肌にアプローチしてくれると考えました。

もっともこだわったのは、食材選び

京都産の宇治茶や京都伏見の酒粕、お米、大豆、米ぬか等由来の成分を厳選しました。ベースとなる水には、北アルプス立山連峰の地下300mの地下水脈からくみ上げた温泉水を使っています。

安全性の点では、合成香料、合成着色料、紫外線吸収剤、鉱物油無添加を実現しました。また、日本人の被験者のみでアレルギーテストも行なっており、日本で臨床試験を行うことで、海外のお客様からも信頼をいただいています。

海外で評価される日本製コスメ、その理由は品質とパッケージ

― 京都では多くの外国人観光客が日本製コスメを爆買いしている姿を見かけますが、なぜ日本製コスメは外国人から支持されると思われますか?

山田:経験上、アジア・中東・アメリカ・ヨーロッパなどさまざまな国に行っていますが、日本製コスメが支持される理由は大きく分けて2つあると思います。

まず1つは、“Made in Japan”に寄せられる信頼です。

顕著に感じられるのが中東で、男性なら電化製品、車などに対して「とにかく日本のモノは優れている」とおっしゃいます。

女性からは化粧品が支持されていて、「ジャパンだったら問題ない」と、“いい”イメージを持たれている方がとても多いです。

国が変われば日本製コスメに対する評価も異なり、アメリカやヨーロッパでは中東ほどの支持はありませんが、やはり日本製コスメは品質面で一定の評価を獲得しています。

日本のモノは繊細ですよね。例えば洋菓子。ケーキは本場であるフランス産が優れているイメージがありますが、結局はケーキ職人の技術にかかっています。ケーキと同様に化粧品の特性的にも、繊細さが求められるのではないでしょうか。

― ICHI化粧品の製品を試させていただいたなかで、私はとくに洗顔料「ICHI オーガニックグリーンスキンウォッシュ」が好きでして。やさしい洗い心地で洗顔後も乾かないので、一度使うと手放せなくなりますね。

山田:ありがとうございます! ICHI オーガニックグリーンスキンウォッシュは、従来の洗顔料とは異なる低温熟成製法を採用したおかげで、高品質な洗顔料をつくることに成功しました。

製作時間はかかってしまうのですが、100%自然由来、オーガニックオリーブや京都産有機宇治茶葉のブレンド、心やすらぐウッディーな香りなど、こだわりを詰め込むことができました。

― おかげさまで“Made in Japan”が信頼される理由を肌で実感できました。では、日本製コスメが支持される2つ目の理由は何だと思われますか?

山田:2つ目の理由は、パッケージにあると思います。

我々の製品も中身だけでなく、パッケージや容器を評価されることが多いです。

例えば、漏れや印刷のはげ。飛行機内で中身が漏れてしまっては大問題なので、空輸の際にもトラブルが起こらないようにシビアにつくっています。

三幸トレードでは他社ブランドの企画・開発も手がけているのですが、日本製品は化粧品の中身だけでなく、外観や箱など全体的に品質が高いです。

繊細なモノづくりを得意とする日本人は、商品を見る目も他国より厳しいので、日本人向けにパッケージや容器を追求すると必然的に世界からも評価されます。

ICHI化粧品や三幸トレードが信頼をいただいているのも、品質への追求によるところが大きいと思っています。細かいところまで気にしないと漏れの問題をはじめ品質に影響が及ぶので、ある程度の経験がないと高品質なものをつくりにくいですね。三幸トレードで築き上げた化粧品づくりのノウハウは、ICHI化粧品で生かされています。

弊社にかぎらず、やはり日本特有のモノづくりに対する評価が、日本製コスメの支持につながっているのではないでしょうか。

自信のクリームで医療・介護分野への参入にも挑戦

― 「Medical Japan expo」「介護&看護 Expo」に出展するなど、医療・介護分野にも参入されているのですね。

山田:医療や介護を必要とされる方にはもちろん、看護師さんや介護スタッフの方などお勤めされている方にも使っていただきたいです。

ICHI化粧品の創業当初に開発した「エッセンシャルアクアクリーム」は、多機能な働きを持っていて、1つでお手入れを完了させることができるので、忙しく働かれる方に便利なアイテムなんです。

実は、ブランド名の“ICHI”は、「ひとつでも多機能な働きを持つ」ということに由来しています。

多くの種類の化粧品を使うことが、肌の負担になる可能性があると考えているため、弊社ではシンプルケアをご提案しています。

医療・介護業界には、お仕事でかなり疲れていらっしゃる方が多いですし、毎日のスキンケアに活用していただけたらと思っています。

― 私もクリームを使っているのですが、塗りのばすと化粧水と美容液がじわっと現れてきて驚きました!

山田:テクスチャーはクリームですが、水分と油分の両方が配合されています。とにかく水分量が高く、その数値は約80%。ハンドメイド製法でクリームにこだわりの温泉水をたっぷりと閉じ込めていて、肌にのばすと水分が出てくるんです。ベタつかない使用感も好評をいただいています。

― 実際に、医療・介護機関でどのように展開されているのでしょうか。

エッセンシャルアクアクリームを肌で試していただくだけでなく、手作りワークショップを開催するなどして、製品をより身近に感じていただけるイベントも行っています。

また、大阪保険医協同組合を通じて販売を行っており、加入されている機関のみなさまに気軽にご購入いただけるように取り組んでいます。

流行に左右されることなく、国内外のお客様に発信していきたい

― 新たなフィールドに挑戦しながらも、創業当初から変わらぬ想いで化粧品をつくり続けていらっしゃるとのこと。最後に、今の想いをお聞かせください。

山田:結局は「流行に左右されずに、国内外のお客様に発信していきたい」というのが根本にあります。

日本の文化を原点としたICHI化粧品を、世界中の方々にお届けしたいです。もちろん、宇治茶や伏見の酒粕など京都産の原料にもこだわっていますが、京都ブランドに縛られることなく、良質な素材選びにこだわっています。

― エッセンシャルアクアクリームにも、日本の食文化にちなんだ成分がたくさん使われていますね。お客様からはどんなお声が届いていますか。

山田:アメリカでも90歳くらいのお客様にもこのクリームをご愛用いただいていて、非常に喜ばれているようです。お孫さんからいつもこのお話を聞かせていただくのですが、お会いするたびにお褒めいただくほど。

国を問わず、ご年配の方でもご満足いただけるのはうれしいですし、お喜びの声をどんどん広げていけたらいいなと思っています。

日本が誇る技術と精神で、さらなる飛躍を

信頼と品質によって支持される日本製コスメ。そのルーツは日本人に培われてきた繊細なモノづくりにあり、技術や精神は決して一過性のものではありません。

ICHI化粧品が15年もの間、世界各国で信頼を獲得し続けているのも、その技術と精神が多くの人たちから認められているためではないでしょうか。

日本製コスメの信頼は、いわば“Made in Japan”に寄せられる信頼の証。

ICHI化粧品をはじめとする日本製コスメのさらなる飛躍を願わずにはいられません。

(取材・文:古賀令奈/編:コスメクリップ編集部)

【参考】

  • ICHI化粧品
  • 中国需要の増加で活況を呈する日本の化粧品産業 ̶注目されるOEMメーカーの展開̶|三井物産戦略研究所
  • 大阪府保険医協同組合

2019.11.23

古賀令奈
この記事を書いた人
美容ライター/コスメコンシェルジュ 古賀令奈

コスメをこよなく愛する美容ライター。有名女性向けメディアや企業の公式サイトなどで美容記事を多数執筆。コスメ選びのプロフェッショナルとして、みなさまのお悩みやご要望にあわせたコスメ情報をお届けします。